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サケ科魚類に寄生するカイアシ類「サルミンコーラ」の分布情報・標本募集のご協力のお願い

[ 記事No.11409 ]
4件のコメント
サケ科魚類に寄生するカイアシ類「サルミンコーラ」の分布情報・標本募集のご協力のお願い
北海道大学環境科学院修士課程2年の長谷川稜太と申します(この図鑑の運営スタッフもやらせてもらっておりますhttps://zukan.com/u/3098)

さて、この度は既にツイッターなどでも拡散して頂いておりますが、私の研究対象種である寄生性カイアシ類「サルミンコーラ」の分布情報と標本を募集したく、本掲示板にて投稿しています。

※以下にやや長めの説明が続きますが、要点だけ押さえた画像を添付しましたので、そちらだけ見ていただいても大丈夫です。

【サルミンコーラとは】
サルミンコーラは寄生性カイアシ類であるSalmincola 属(サルミンコーラ属、日本語ではナガクビムシ科ヤマメナガクビムシ属)という甲殻類のグループに属する種の総称です。ほとんどの種で、サケ科魚類のエラや口に寄生することが知られています。世界には20種ほどおり、日本では以下の3種が記載されています。

Salmincola californiensis
(ヤマメナガクビムシ、宿主:ヤマメ、アマゴ、ニジマスのエラに寄生)
Salmincola carpionis
(イワナナガクビムシ、宿主:イワナ、カワマス、稀にニジマスの口の中に寄生)
Salmincola stellatus
(イトウナガクビムシ、宿主:イトウの口の中に寄生)

サルミンコーラの仲間には面白い特徴があります。

① 種ごとに寄生する宿主や寄生する部位が決まっている。
例えば、イワナに寄生するサルミンコーラ(イワナナガクビムシ, Salmicola carpionis )は基本的にイワナの仲間(エゾイワナ、ニッコウイワナなど)のみに寄生します。寄生する部位も強く決まっており、基本的にイワナに寄生するサルミンコーラはイワナの「口の中」に寄生します。稀に臀ビレや胸ビレ付近に寄生することもありますが、ほぼ口の中です。
これらの特徴はおそらく宿主(魚)とサルミンコーラが長い時間をかけて、共に進化してきた(共進化と呼びます)結果と考えられています。

② 宿主に強い悪影響を与える
サルミンコーラは古くから養殖場や水族館で発生して、魚にダメージを与える悪者として知られています。
例えばエラに寄生する種は宿主の卵の数を減少させたり、エラを傷つけるため、呼吸を阻害することも知られています。口に寄生する種は、宿主の食欲を落としたり、口内を腫れさせ、最終的には宿主をひどくやつれさせることも知られています。


非常に生態・進化学的にも面白い分類群ですが、野外での生態は驚くほどわかっていません。国内に限っては、どこに分布しているのかもわかっていません。

そこでWEB魚図鑑に参加されている、皆様から全国の分布情報を募集したく、投稿するに至りました。

もし渓流釣り・管理釣り場や釣り堀での釣りをしていた際にサルミンコーラを見かけたら、以下の情報や写真を下記連絡先までご連絡いただきたいです。水族館や養殖場などでも見かける機会が多いようです。どんな場所の記録でも貴重な分布情報となるため、些細な情報でもお待ちしております。


【募集情報】
① サルミンコーラを見かけた日にちと場所(なるべく細かく教えて頂けると助かります)
(例:2020年5月14日に、石狩川水系豊平川支流の**沢でみかけた、など)
② 寄生されていた魚の種類
③ 寄生されていた魚とサルミンコーラの写真
(魚の名前が分からなくても、写真があればこちらで種判別を行います。写真は「寄生されていた魚の全体像が分かる写真」と「サルミンコーラが魚に寄生している状態が写るように、アップで撮った写真」の両方があると大変助かります。)

また以下の情報も覚えている限りで構いませんので、教えて頂けると大変嬉しいです。
④ その場所でサルミンコーラが寄生されていた魚の割合
(例:**川では15匹釣ったうちの3匹が感染されていた、など。大体の数字で大丈夫です)
⑤ 1匹の宿主に寄生していた、大体のサルミンコーラの数
(例:1匹のイワナに大体3-4匹ぐらい寄生していた、など。大体の数字で大丈夫です)


さらに、サルミンコーラの遺伝子を解析することで、日本におけるサルミンコーラの多様性や分布がどのように広がっていったのか、明らかにしたいと考えています。そこで可能な方は、サルミンコーラの実物を下記連絡先に送っていただきたいです。実物を送っていただける方は、サルミンコーラが魚に寄生した状態で魚ごと冷凍して頂き、クロネコヤマト(ヤマト運輸)のクール冷凍便の着払いで、下記住所へお願いいたします。


【連絡先】
〒060-0810 北海道札幌市北区北10条西5丁目
北海道大学大学院 環境科学院 小泉研究室 A510
修士課程2年 長谷川稜太 ryotahase344922 (at) eis.hokudai.ac.jp (atを@に変更)


「〜川で昔見た気がする」というような、どんなに些細な情報でも構いません。
情報をお持ちの方、標本を送ってくださるという方は、まずはメールにてご連絡ください。
みなさまからの情報、お待ちしております。ご協力宜しくお願いいたします。


詳細な募集情報:https://noah.ees.hokudai.ac.jp/envmi/koi...

メール以外でも、長谷川のツイッターアカウント(@RyotaHASEGAWA9)までDM(ダイレクトメッセージ)を送っていただくことも可能です。


長谷川稜太

※得られた分布情報は研究にのみに使用し、他者への不用意な拡散はいたしません。
※また魚の採集は特別な許可を得て行い、採集した魚は原則元の地点に活かしたまま再放流します
画像1
画像2
画像3
姫川上流漁協のHPには画像2の頭でっかちのイワナが見られます。
https://www.facebook.com/hakubaotari/pho...
ももこ様

情報提供ありがとうございます。
紹介頂いた写真見ました。
確かに、頭でっかちでいかにも寄生されていそうですね。

今後も、もしこうした個体を見かけた場合はご一報いただけると大変助かります。宜しくお願いいたします。
姫川上流漁協にはよく行きますので、確認したら報告します。
また、岐阜県へ渓流魚を釣りに行く方もいらっしゃいます。連絡が入るようにしておきます。
ありがとうございます。
お手すきの際で構いませんので、ぜひご確認宜しくお願いいたします。
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