| 概要 | 繁殖期の雄は雌以外を入れない縄張りを持つ。その習性が漢字で「鮎並」と書く由来の一つとされる。
アイナメ釣りは、岩礁帯を釣る為、昔からオモリと針が一体化した、根掛かりし難い「ブラクリ仕掛け」という独特の仕掛けがある。 |
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| 形態・特徴 | 尾鰭の端は直線的かやや湾入する。また、側線は5本ある。背鰭は中央付近に目立つ欠刻があり、棘条部と軟条部で分かれる。背鰭棘数は19~21本であることなどでエゾアイナメと区別できる。ウサギアイナメと共に日本産アイナメ属中鱗は最も細かく側線有孔鱗数は100〜110枚で、クジメやスジアイナメと区別できる。体色は褐色から橙色と、生息場所によって変化する。ちなみに、黄色い個体は婚姻色を呈している雄であり、産卵期にのみ特異的に見られる。 |
| 分布 | 日本各地。朝鮮半島南部、黄海。浅海の岩礁域にすむ。 |
| 生息環境 | 海藻の繁茂する岩礁域やその周辺の砂地に生息する。産卵期は10~1月とされ、雄が卵保護をする習性が知られている。黒潮流域には少なく、そのような場所では代わりに近縁種のクジメが多くなる。 |
| 食性 | 多毛類、甲殻類、軟体動物、小型魚類などを食べる動物食性。 |
| 標準和名 | 東京都・神奈川県三浦市での呼び名が由来となっている。アイナメはアユナミ(鮎並)で、アユに似るからといい、また愛魚女(ナは魚の古名)で愛する女を意味し、宮城方面の「ネウ・ネウオ(寝魚)や、山形方面のシンジョ(寝所)は、そのことに関連した名であろうという説があるがどうか。『さかな異名抄』 |
| 地方名 | アブラメ(北海道、青森県、岩手県宮古市、石川県加賀、大阪府、和歌山県和歌山市、兵庫県、岡山県、広島県、山口県、愛媛県、福岡県博多、長崎県長崎市)、アブラコ(北海道、青森県、秋田県、山形県庄内)、アブラッコ(北海道、青森県、岩手県宮古市、秋田県北部)、シンジュ・シジュ、キロ・キロキロ・キロッコ・アギオッコ(青森県)、ホシナコロシ(小型、青森県)、アブレヌ(青森県津軽)、シリポク(三陸地方)、ネウ(宮城県、福島県)、ネエオ(宮城県仙台市)、シンジョ(山形県)、シンジョペラ・シンジョペゴ(小型、山形県)、アイナ(福島県、茨城県)、エイナ(茨城県)、アアナ(茨城県ひたちなか市・大洗町)、エエアメ(茨城県ひたちなか市)、ダボ(千葉県)、シジョ(新潟県柏崎市)、シジュウ(北陸地方、京都府丹後、兵庫県但馬)、ホッケ・ホッケンジュウ・モイオ(富山県)、モイボ(富山県東部)、シジュウハチメ(富山湾)、シジウ(石川県能登町)、ベロ(静岡県)、コモズミ(三重県)、モマ(京都府丹後)、ポン(大きめのもの、大阪府、兵庫県神戸市)、ツムギ(大阪府南部)、モヨ(兵庫県但馬、鳥取県)、モツゴ・ムツゴ(兵庫県但馬)、モズ(鳥取県、島根県)、モミダネウシナイ(山口県、愛媛県)、チロ(山口県)、モウオ(山口県下関市)、ビリメ・ビリ山口県山口市)、アブ(山口県柳井市・平生町)、オツムギ(山口県柳井市、大分県)、モミダネ(山口県瀬戸内側)、クチボソ(福岡県糸島市)、テンゴ(福岡県福津市)、ヤスリ(長崎県大村湾西彼)、モチウオ(長崎県雲仙市)、モチノウオ(長崎県有明海) 【幼魚】クジメ(神奈川県横浜市) 【大型】ツムギ(和歌山県) 【出世名】スボコ→カクゾオ→ツムギ(大阪湾、兵庫県南部)、メントリ→コツクリ(兵庫県神戸市) |
| 史話・伝承 | 『本朝食鑑』に「鮎魚女、阿比奈女、形は年魚(鮎のこと)に似る」などと記載されている。『とやまキトキト魚名考』 |
| その他 | 食用魚として市場によく出回る水産上重要種であり、遊漁の対象としても人気が高い。 |
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