カジカ中卵型

Cottus sp. ME

形態・特徴 カジカという種には大卵型と小卵型の2種が含まれており、さらに近縁で琵琶湖固有のウツセミカジカとの3種に分けられることが多かった。
近年、カジカ小卵型とされていた個体群のうち、主に日本海側に分布するものについては、卵が幾分大きく、太平洋側の個体群と遺伝的に別種とみなされるほどの分化を遂げていることが判明した。このことから、この日本海側に分布するものはカジカ中卵型と呼ばれ別種とみなし区別されている。
一方、太平洋側に分布するカジカ小卵型と琵琶湖固有のウツセミカジカには遺伝的な差が僅かにしかないことが判明した。このことから、カジカ小卵型はウツセミカジカの種内変異群として位置づけられるようになった。
本種は、他の日本産の淡水域に生息するカジカ科魚類と比較し、前鰓蓋骨棘は1本であること、胸鰭軟条は分枝せず13~17軟条であること、眼から前鰓蓋骨棘へ向かって2本の暗色帯があること、眼の後背面と第1背鰭下に暗色帯があること、腹鰭には顕著な斑紋がないことなどが特徴である。
分布 北海道・本州の主に日本海に注ぐ河川の中・下流域。
生息環境 よく似たウツセミカジカが河川性・湖沼性であるのに対し、両側回遊性。河川の中・下流域の石礫底の隙間に生息する。
食性 肉食性で、水生昆虫が主な餌となっている。
その他 卵径は2.2~2.8mm、一腹卵数は400~1,000個とされ、ウツセミカジカよりも卵は大きく、カジカ大卵型よりも小さい。
郷土料理に欠かせない存在であり、日本の里地里山における貴重なタンパク源として珍重されてきた種である。しかし、水質の悪化に弱く、さらにダムや堰などの河川人工物の影響を受けやすいことから、環境省でのレッド・リストでは絶滅危惧IB類に指定されている。指標種とされることもあり、近縁種を含めたカジカ類を呼び戻す地域活動が行われている場所もある。
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