形態・特徴 | メジナの仲間はイスズミの仲間と比べると背鰭棘数が多い、両顎の外側の列の歯は3尖頭であるなどで区別できる(が、この2つのグループを同科とする考えもある)。体色は暗色~暗緑色であるが、体色や体型などには若干の変異がある。本種は日本産の同属魚類とは、上唇が薄く、成魚・幼魚ともに体側に帯をもたず、背鰭棘条部中央下横列鱗数は6-9(7が多い)、各鱗基部か中部に暗色点がある、側線有孔鱗数50-56である、などの特徴によって区別される。よく、鰓蓋後縁が黒いのはクロメジナとされるが、メジナにも鰓蓋後縁が黒いものがいるので、注意したい。体長45cm近くになる。 |
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分布 | 新潟・房総半島以南の各地沿岸~鹿児島、琉球列島や小笠原諸島にもまれにみられ、幼魚は北海道や東北地方にも出現する。~朝鮮半島南岸、済州島、台湾、中国、香港。 |
生息環境 | 主に本州から九州の沿岸に生息する。日本海や瀬戸内海にも分布し、琉球列島からの記録もあるという。磯に多く生息し、幼魚や若魚は、防波堤の周りにもよく集まる。毎年晩春から初夏にかけては、分布域の各地の潮だまりや流れ藻などの浮遊物の下で、本種の幼魚の姿を見ることができる。また、河川河口の汽水域に出現することもある。 |
食性 | 雑食性で、藻類や甲殻類などを捕食する。 |
釣り | いわゆる磯の上物釣りの花形だが、その歴史はさほど古くはなく昭和40年代の竿やリールの発達、雑誌等メディアの普及による磯釣りブームで、にわかに脚光を浴びた魚という印象がある。固定ウキのフカセ釣りで始まり、現代でもそれが基本。餌は昭和50年頃にオキアミが普及する以前は、アミエビを小麦粉と混ぜて団子にしたり、アミエビを木綿糸で針にくくりつけたものを使っていた。そのさらに以前は、冷凍の湖産エビ(シラサエビ?)やフナムシがよく使われていた。
地方によっては冬場にハバノリで釣ることがあり、その時期のメジナはおいしく、夏場は磯臭くて食べられたものではないという評価もあった。一説によるとオキアミが普及して、年中釣り人がオキアミを撒くのでメジナがそれを常食するようになり、その影響で昔に比べて夏場でもおいしく食べられるようになったというが、真偽は定かではない。 |
地方名 | グレ:大阪府、和歌山県、兵庫県、広島県、島根県、徳島県、高知県、愛媛県宇和島市、熊本県水俣市、宮崎県、鹿児島県、クロ:島根県、山口県、福岡県、長崎県、大分県、熊本県水俣市・苓北町、宮崎県、鹿児島県
クロアイ:島根県、クロイオ:愛媛県宇和島市、長崎県対馬(クロユオ)、長崎県(クロイヨ含む)、クロダイ:山口県、福岡県福岡市近郊、長崎県長崎市・大村市、鹿児島県、クロタコ(宮崎県) クロメ:三重県鈴鹿市(クロメダイとも)、三重県南伊勢町、三重県大紀町(クロミ)、クロヤ:島根県、山口県 タカイオ系:高知県土佐清水市・宿毛市(タカウオとも)、高知県四万十市興津(コダコ)、愛媛県、大分県臼杵湾~津久見湾、宮崎県(タコイオ・タコ・クロダコ) ツカイ系:富山湾新湊(ツカイダイ)、石川県七尾市(チカイ)、京都府丹後地方(ツカヤ) クシロ:東京都伊豆大島・新島、静岡県伊豆半島 その他:クロバンチョ・キンコ(石川県能登)、ヒズ(三重県志摩市)、青タン(回遊の大きいもの、高知県宿毛市沖ノ島・鵜来島)、ハグロ(長崎県諫早市)、セイオ(宮崎県)、シチュー(沖縄県) |
その他 | 産卵期は2-6月ごろで、晩春から初夏に沿岸の潮だまりで幼魚が普通に見られるようになる。
磯釣りの対象魚として知られ、関西でグレなどと呼び、人気が高い。クロメジナと分ける時は「口太グレ」などとよび、クロメジナと区別している。 食用としては、冬が旬で美味。塩焼きや煮付けなど様々な料理に向いており、大きい個体は刺身にしても美味。 |
食味レビュー |
★★★★☆
4.0
44件の評価
★★★★☆
daikichi・2021/05/15
30㎝弱の個体を釣りあげてすぐ血抜きし、水汲みバケツに2時間放置。
鱗と内臓をとり常温で持って帰りました。
内臓脂肪は多少あり、卵もちょっと持っていました。
家で真水で洗い、キッチンペーパーで包んで一晩寝かせました。
3枚に卸してからアクアパッツァにしましたが、臭みもなく身もフワフワで最高でした!
出汁も磯臭くなく上品。
活〆のキジハタには劣りますが、野締めのアマダイよりは美味しかったです。
★★★★☆
kusu・2016/12/27
35cmクラスを数枚釣り上げたので、刺身と焼き切りにして食しました。
刺身も適度に脂がのって美味でしたが焼き切りの皮目が格別に美味でした。
残りのアラと白子&肝は酒蒸しにしてみましたがコレも美味で特に白子が抜群でした。
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