アラ

Niphon spinosus Cuvier, 1828

形態・特徴 若魚の体は灰色でやや長く、スズキに似ているが、体側には暗色縦帯がある。鰓蓋には大きく強い1棘がある。成魚は一様に茶褐色ないし灰褐色で、体側にある縦帯は不明瞭になり、やがて消えてしまう。背鰭棘数は13で、ハタ科の中では多い。体長1m近くにもなる大型種。
分布 南日本。~フィリピン。沿岸のやや深い岩礁域、水深100~140mの大陸棚縁辺部にすむ。
生息環境 大陸棚斜面の、水深100-360mくらいに生息する。東シナ海のものは大きな回遊を行わず、周年同一の場所にいるといわれている。
食性 肉食性であるが空胃のことも多く、食性が詳細に調べられているとはいえない。小魚や甲殻類などが出てきたという。
標準和名 東日本での呼び名が由来となっている。『さかな異名抄』
地方名 キツネ(神奈川県西湘)、アラマス(三重県尾鷲市、和歌山県)、ホタ(関西地方、長崎県対馬市・長崎市)ホタ(和歌山県、山口県下関市、徳島県)、クエ(和歌山県串本町)、シロマス(和歌山県新宮市)、スズキホタ(和歌山県みなべ町)、イカケ(中国地方)、カンナ・キヨセ(広島県、島根県、山口県)、ヤリモチ(島根県浜田市)、スケソウ(山口県下関市、長崎県)、ヤナセ(山口県下関市)、オキスズキ・オキノスズキ(高知県、鹿児島県)、タラ(長崎県、熊本県)、オキダラ(長崎県) 【小型】コアラ(東京湾・相模湾・伊豆・遠州灘、和歌山県那智勝浦町・新宮市) 【小型】ヤリモチ(広島県、島根県、山口県) 【大型】ホンアラ(静岡県伊豆)、ホタ(和歌山県)、シノイオ(和歌山県新宮市) 【出世名として】シンズク→アラ(静岡県伊豆網代・富戸)、テッケ→アラ(静岡県伊豆田子)、テツゴ(50cmまで)→アラ(静岡県伊豆安良里)
その他 産卵期は土佐で5-8月といわれているが、地域によって多少差がある。
深海釣りや底曳網などで漁獲されるが、数は少なく、大型のものは殆ど漁獲されなくなっているという。肉は白身で非常に美味である。旬は冬とされている。
アラ属の現生種は1属1種で、かつてはスズキ目に入れられていたが、Nakabo et al.(2002)ではハタ科に含められており、ここでもハタ科に含める。
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