形態・特徴 | 体高は高い。鱗は2層からなり、大きくはがれやすい鱗が表層にあり、その下にまばらな大きさの鱗がある。尾鰭は黄色い(水中だとより顕著)。2つある鼻孔のうち後鼻孔は幅広く楕円形に近い。臀鰭軟条数は35-42本、側線有孔鱗数は45-54枚。体長12cmほどの小魚。
胸鰭基部に黒色斑がないこと、胸鰭が一様にピンク色もしくは透明なことから、ミナミハタンポやミエハタンポに似るが、ミナミハタンポは尾鰭が茶~ピンク色で後鼻孔は幅の狭いスリット状であることで、ミエハタンポは臀鰭軟条数が多く(40-46本)鱗が非常に細かい(側線有孔鱗数67-78枚)ことで区別できる。 また、ミナミハタンポとは大隅諸島(種子島、屋久島、口永良部島)を境に分布が大きく分かれており、北にミズホハタンポが、南にミナミハタンポが主に分布している。大隅諸島においては両種が同所的に分布する。 |
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分布 | 房総半島から鹿児島県にかけての太平洋沿岸、長崎県対馬、長崎県五島列島から鹿児島県にかけての東シナ海沿岸、伊豆諸島、小笠原諸島、大隅諸島、硫黄島、竹島。~済州島(韓国)、中国。北西太平洋からのみ知られている。 |
生息環境 | 沿岸の岩礁域、サンゴ礁域に生息する。昼間は岩礁の孔の中やサンゴの隙間にひそみ、夜間にはその中から出る。 |
食性 | 肉食性で動物プランクトン、甲殻類等を捕食する。 |
分類 | 本種は1963年に新種記載されており、Pempheris schwenkii(現在のミナミハタンポ)との色彩・分布パターンの違いにも言及がされていたにも関わらず、十分な議論がされないまま長い間ミナミハタンポと同種として扱われていた。しかし、遺伝子解析の結果は両者が別種であることを支持し、形態の面での差異も判明したため、2024年に標準和名が提唱され再び有効種として扱われることとなった。
参照: A review of the genus Pempheris (Teleostei, Pempheridae) found in Japan and Taiwan https://zookeys.pensoft.net/article/1267... |
その他 | 定置網や釣りで漁獲される。地域によっては食用にすることもある。 |