ジュズカケハゼ種群

Gymnogobius castaneus complex,

形態・特徴 従来「ジュズカケハゼ」と呼ばれていたものの中には複数種が含まれるとされている。

1.ジュズカケハゼ広域分布種
東日本においてもっとも広く分布すると考えられる。吻長がやや短く、両眼の間隔幅が狭い傾向にある。婚姻色が出た雌には、第1背鰭後端に黒色斑がでる、などの特徴を有する。ただしシンジコハゼやビリンゴなどにも酷似しており、婚姻色や頭部間隔管の情報がなければ、同定は極めて難しいという。
 
2.ジュズカケハゼ鳥海山周辺固有種
ジュズカケハゼ広域分布種と比較して吻長がやや長く、両眼間隔幅が広い傾向にある。背鰭前方鱗数が0~5枚と少ない。雌の婚姻色は黄色横帯は発達が悪く、あっても淡く、縁がぼやけるなどの特徴がある。
秋田県および山形県に局所的に生息するもので、乱獲やブラックバス類などの放流が行われないよう生息地の公開には特に注意が必要である。

3.ジュズカケハゼ富山固有種
ジュズカケハゼ広域分布種と比較して吻長がやや長く、両眼間隔幅が広い傾向にある。背鰭前方鱗数が通常27以上と多い、などの特徴がある。雌の婚姻色はよくわかっていないが、体側には数本の黄色横帯があり、第1背鰭に黒色斑がないなどの特徴があるという。
富山県の一部に生息しているが、乱獲が行われないようにやはり生息地の公開については特に注意が必要な種とされる。また、すでにオオクチバスの侵入が確認された生息地があり、本種の消滅も危惧される状態にある。

4.ジュズカケハゼ関東固有種
ジュズカケハゼ広域分布種に似ているが、比較して吻長がやや長く、両眼間隔幅が広い傾向にある。雌の婚姻色は第1背鰭後半部に黒色斑がない、などの特徴により区別される。ジュズカケハゼ富山固有種とは、背鰭前方鱗数がやや少ないことで区別できる。
中流域に生息し、オヤニラミやコクチバスなどによる捕食の影響が危惧されているという。

5.そのほか
4種いずれにもあてはまらない集団も確認されているという。このほか、ジュズカケハゼ広域分布種についても、遺伝的に均一でないとされている。

なお、ビリンゴやシンジコハゼとは、頭部感覚管とその開孔がないことによって区別される。
分布 北海道~福井県・長野県・東京都。サハリン、中国。汽水域から淡水域に生息する。
生息環境 上記のように複数の種を含むとされており、一概には記されないが、水路やため池、湖沼、河川などに生息するとされている。
その他 上記のように複数の種を含むとされているが、分類学的再検討は、現在進められている最中である。名称も同様に仮のもので、学名との対応ができていない状態である。詳しくは魚類学雑誌 Vol. 57, No.2, pp. 173-176 「日本の希少魚類の現状と課題」も参考のこと。
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