形態・特徴 | イスズミの仲間は、メジナと比べると背鰭棘数が少ない、両顎の外側の列の歯は1尖頭であるなどで区別できる(が、この2つのグループを同科とする考えもある)。体色は灰色っぽく、体側には細い縦線がある。日本産のイスズミ属は4種いるが、ほかの同属魚類とは、背鰭と臀鰭の軟条数が其々14および13であることによって区別可能。体長50cmに達する。 |
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分布 | 千葉県以南の太平洋岸、琉球列島、小笠原諸島。網走近海のオホーツク海や津軽海峡、日本海にも少ないがいる。~釜山、台湾、インド-太平洋域。 |
生息環境 | 関東近辺で見られることもあるが、南にいくと多くなる。幼魚は流れ藻や浮遊物によくついている。成魚は波の荒い岩礁などに生息する。 |
食性 | 雑食性で、付着藻類、海藻類、甲殻類、動物性プランクトンなど様々な餌を捕食する。 |
食味 | 食性に由来するのか夏場は臭いが冬は美味しいといわれる地域が多い。各地の食べ方としては、生姜を入れてツミレやサンガ焼き(東京都小笠原)、「たきたき」というすき焼き料理(和歌山県)、大型を焼き切り・タタキ(高知県足摺界隈)、刺身に海苔を巻き付けわさび醤油で(福岡県)、味噌煮(長崎県五島市福江島山間部)、南蛮漬け(熊本県天草)、刺身にして黒酢に醤油・唐辛子(鹿児島南さつま市)、甘塩で一夜干し(鹿児島県種子島)など。
食味については、非常によく似たノトイスズミやテンジクイサキの評価は高いが、この2種とイスズミを区別している人は少ない。伊豆大島ではテンジクイサキをキンシチ(金七)。また伊豆諸島の一部ではノトイスズミの腸をフギと呼んで好んで食べられるという。 |
地方名 | 【キツ・シツ・ヒツ系】キッツオ(和歌山県、小さいもの)、キツ(高知県)、キトウオ(静岡県伊豆)、シチクレ・シッツ(長崎県五島)、ヒチクロ・シチクロ(長崎県五島市福江島)、ヒッツ(熊本県天草・水俣市)、シツオ(宮崎県、鹿児島県屋久島)、ヒツオ(鹿児島県種子島・屋久島)、シツ・カチヒツ(鹿児島県口永良部島)、シチ(鹿児島県奄美)、シツウ(鹿児島県喜界島)、シチュー(沖縄県) 【ウンコ系】クソクライ(静岡県伊豆)、ババ・ババンチョ(静岡県西伊豆)、ババタレ(和歌山県、小さいもの)、ババタレ(高知県、大分県、鹿児島県離島)、クソタレ・ヒッカブイ(鹿児島県)、ババグロ(鹿児島県離島)、ババユー(鹿児島県喜界島)、バベ(鹿児島県屋久島、沖縄県宮古島市)、アカババ・バビャ(沖縄県宮古島市)、ババ(沖縄県伊良部島) 【その他】ササヨ(伊豆諸島・小笠原諸島)、イス・イズ・イススミ・イシジメ・ササエ・サセエ・シメ・ソトウラクシロ・ブンコウ・ブンセツ(静岡県伊豆)、スモトリ(三重県尾鷲市)、イズスミ(三重県紀南、和歌山県串本市)、ネコマタギ(佐賀県、長崎県)、タッカブッ・ヒックレ・ヒチクレ・ヒロクチ(長崎県五島)、マンガラ(鹿児島県徳之島)、マット・マーピ(沖縄県本島)、マットウ(沖縄県八重山) 【出世名として】キトウオ・クサヤ→イスズミ(静岡県伊豆田子)
参考:https://gyomei.zukan.com/?p=1577393380 |
その他 | 定置網や刺網などにより漁獲される。幼魚はブリの幼魚を漁獲するモジャコ漁でもとれる。
釣りではメジナ釣りの外道としておなじみで、海藻やオキアミなど様々な餌で釣れる。引きはメジナと同じく強いが、釣り師にはあまり喜ばれない。 味は磯臭い、もしくは不味とも、あるいは美味ともいわれていて、はっきりしない。産地や、季節などで大きく変わると思われる。伊豆諸島などでは食用になっている。 |
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