キタクロヌタウナギ

Eptatretus walkeri McMillan and Wisner, 2004

特徴・形態 体は濃褐色。背中線の隆起(皮褶)は体色と同じ濃褐色。
皮褶が淡色でないこと、鰓孔が6対で互いに近接することにより日本産ではクロヌタウナギによく似るが、舌上の左右に並ぶ2列の舌歯のうち、後列片側の最前列から2番目までの歯の基部が癒合することで区別できる(クロヌタウナギでは最前列から3番目までの歯の基部が癒合する)。
分布 千葉県銚子沖、神奈川県、秋田県、新潟県。日本海に広く分布していると考えられる。
近似種のクロヌタウナギは現在のところ、日本海では記録されていない。
生息環境 沖合の水深75~150mから得られている。
食性 泥中の小動物を捕食したり、死魚や網にかかった魚なども捕食する
その他 本種(Eptatretus walkeri)は2004年に千葉県銚子沖で採集された個体をもとに新種記載されたが、長らく和名がなかった。
その後2017年、駿河湾と秋田県沖のクロヌタウナギに遺伝的な差異があることが茨城大などの研究により判明し、2019年にはこのうち、秋田県沖のものと遺伝的に一致する個体が江ノ島沖や銚子沖などからも得られ、E. walkeriと特徴が一致した。この際、ようやく“キタクロヌタウナギ”という標準和名が提唱された。

底曳網や籠などで漁獲される。肉は焼いたり、燻製などにして美味。秋田県男鹿などで親しまれている珍味「棒アナゴ」には本種が使われることが多い。