形態・特徴 | 体は側扁する。体側には黒色小斑がある。雄の成魚では頭部が強く張り出すが、雌のそれは丸みを帯びる。尾鰭の後縁は強く二叉する。生時、体色は金色に輝いて美しいが、死後急速に色があせてしまう。鱗は小さくてはがれにくい。よくにた種にエビスシイラがいるが、本種の背鰭軟条数はシイラで55-67に対しエビスシイラでは48-59と少ない。体長2mに達する大型種。 |
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分布 | 南日本。全世界の暖海。やや沖合の表層にすむ。 |
生息環境 | 幼魚は沿岸にも現れるが、成魚沖合に多い。幼魚・成魚ともに流木や流れ藻などの漂流物に付随することも多い。 |
食性 | 稚魚は流れ藻で動物プランクトンを捕食するほか、同じように流れ藻に着く小魚を捕食している。成魚ではカタクチイワシ、トビウオ類を多く捕食し、他ヒメジ類、マアジ、イカなどを捕食する。また本種の幼魚も捕食しているという。 |
地方名 | 【マンビキ系】マンビキ(岩手県、宮城県、福島県、茨城県、千葉県、愛知県、和歌山県、高知県高知市・南国市、愛媛県、福岡県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県宮古島・八重山)、マンビ(千葉県外房)、マビキ(福岡県、長崎県壱岐島、熊本県天草、宮崎県宮崎市・日南市)、マンビッ(鹿児島県)、マンビカー・マンビカ(沖縄県本島・八重山) 【クマビキ系】クマビキ(宮城県、兵庫県、高知県)、ウマビキ(徳島県南部) 【マンサク】(岡山県、広島県、島根県、山口県) 【トウヤク系】トウヤク(福島県いわき市、千葉県、静岡県、三重県南伊勢町・熊野、和歌山県、高知県、愛媛県)、トウヤ・トオヤア(静岡県伊豆)、トウヒャク(神奈川県、静岡県伊豆、三重県南伊勢町・尾鷲市、和歌山県、兵庫県) 【ヒウオ系】ヒーウオ(長崎県平戸市度島町)、ヒウオ(長崎県対馬市・五島)、ヒイオ・ヒイヨ(鹿児島県枕崎市) 【カナヤマ】(福岡県久留米市、佐賀県唐津市、長崎県) 【マンリキ】(東京都、東京都伊豆大島、神奈川県横須賀・三浦、三重県志摩、和歌山県南部、高知県、福岡県、鹿児島県長島) 【シビト系】シビトックイ(東京都新島)、シビトクイ(静岡県伊豆、三重県大紀町、和歌山県串本) 【ネコ系】ネコガシラ(宮城県気仙沼市)、ネコマタギ・ネコマタ(高知県) 【クソ系】クソクイ(高知県高知市・南国市・安田町)、クスノイオ(鹿児島県屋久島) 【その他】シラ(青森県、山形県)、ンラ(青森県)、カジハバ(茨城県)、カジアバ(茨城県北茨城市)、カキハバ(茨城県久慈)、カジヤバ(茨城県大洗町)、メンカブリ(新潟県上越市)、オビダイ(富山県射水市)、オブダイ(富山県氷見市)、サンペ(石川県七尾市)、セガキバタ・タナバタ(静岡県伊豆)、アタマイカリ・セッタ・ナタマメ・オスをオジイラ・メスをメジイラ(京都府丹後)、ホウネンサワラ(岡山県)、アキヨシ(山口県)、ベッチャリ(長崎県対馬市)、マンタ(宮崎県北部)、ヒューヌユ(鹿児島県奄美大島)、フーヌイユ(沖縄県北部) 【小型の呼称】ペンペン(神奈川県、三重県志摩、大阪府、高知県、福岡県北九州市、宮崎県北部)、ペンペンシイラ(神奈川県、静岡県駿河湾)、カタナイシラ(石川県珠洲市)、サンペイ(石川県七尾市、京都府丹後)、ジラゴ(高知県西部)、ベッタリ・ベッタリゴ・カミソリ(長崎県平戸市) 【出世名として】コバタ(30cm)→シイラ・マンビキ(静岡県伊豆妻良)、タナバタ→トオヤク(静岡県伊豆田子)、タナバタ→シイラ・トオヤク(静岡県伊豆安良里)、トオヒャク→タナバタサン(静岡県伊豆富戸)、トウヤ→シイラ(静岡県伊豆伊浜)、ネコマタギ→トオヤク(静岡県伊豆戸田)
参考:https://gyomei.zukan.com/?p=1577393268 |
食味・料理 | 脂が少ないため、フライやムニエルといった油料理との相性が良いとされる。しかし、脂が乗ってくる秋・冬の新鮮なモノであれば、刺身の評価も高い。沖縄県国頭村宜名真では、軽く塩漬けしたシイラを天日干しにした「フーヌイユ(福の魚の意と言われる」が、秋の風物詩となっている。
参考:https://gyomei.zukan.com/?p=1577394289 |
その他 | ルアー釣りの対象魚として人気が高い。主に船から狙う。このほか幼魚は沖磯や防波堤などから釣れることもある。職漁としては大型定置網や、まき網などで多く漁獲される。沖合にシイラ漬木という浮漂物を浮かべておき、それに集まるシイラを漁獲するという漁法もある。
食用としては昔はあまり好まれていなかったが、近年はよく利用される。刺身、塩焼き、味噌漬けなどで美味しい。 |
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