クモハゼ

Bathygobius fuscus (Rüppell, 1830)

特徴 体長3~8cm。第一背鰭に太い白色ないしは黄色帯と黒褐色帯があり、体側に中央から下方に伸びる黒色斑が縦列するなどの特徴でほかのクモハゼ属の仲間と区別することができる。繁殖期のオスは体が全体的に黒ずみ、背びれや尾びれの色はより明るく、明瞭になる。クロヤハズハゼに酷似するが、前述の特徴のほか体側の斑紋がより明瞭なことから区別できる。クモハゼ属は頭のまるみが強く、体は比較的太短いことからヨリメハゼ属に似るが、前者には胸鰭の遊離軟条があり、後者の頭はより縦扁することから両者を識別できる。
分布 インド・太平洋の温帯から熱帯にかけて広く分布。国内では小笠原諸島、八丈島、千葉県、若狭湾~与那国島。主に岩礁の潮溜まりに生息するが、サンゴ礁域にもみられる。
食性 デトリタスや小型甲殻類を食べる。
地方名 カナグズ・テカミグズ・デコス・デコンポ(京都府丹後)
その他 本州での繁殖期は6~9月。体長5cmを超えるオスは、潮溜まりにある堅い基質にあいた穴や、岩の割れ目に巣穴をかまえ、メスに求愛をして巣穴に産卵させる。一方、体長3~5cmほどの小型のオスは、スニーキング(巣穴で産卵中のペアに割り込み、射精をすること)戦術で繁殖を行う。また産卵期の後半になると大型のオスが減るため、この小型オスはスニーキング戦術をやめ、巣穴をかまえるようになる。この場合、同じく潮溜まりに生息するイソハゼのオスに適する大きさの巣穴をクモハゼが使うことになり、イソハゼは転石の下で繁殖することを余儀なくされる。
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