シラウオ

Salangichthys microdon (Bleeker, 1860)

形態・特徴 脂鰭を持つことなどからサケ目に分類される。そして、成魚でも体が透明なのがシラウオ科の特徴である。生時は少し赤味を帯び、死ぬと白くなる。本種は下顎が上顎より前に出て受け口となっていること、尾柄部に黒点がないことで他種と区別できる。この他、成熟した雄には臀鰭鱗数が14~19枚あり、雌にはその鱗はないことも特徴。また、本種はスズキ目ハゼ科に分類されるシロウオという種とよく混同される。シロウオは脂鰭がない、腹鰭が吸盤状になっている、赤味が強いなど、かなり形態は異なる。しかし、成魚でも透明であり、利用のされ方も酷似しており、名前が似通っていることがややこしくさせている原因のようである。
分布 北海道~岡山県・熊本県。サハリン、沿海州~朝鮮半島東岸。河川の河口域~内湾の沿岸域にすむ。
生息環境 主に河川の汽水域や汽水湖を生息場として利用する。産卵は河川を遡上して水深2~3mの砂底で2~5月(西で早く、東で遅い傾向がある)に行うとされる。アユと同じように、生まれてから1年後に訪れる産卵の後、その生涯を閉じる年魚である。
食性 動物プランクトンを主食とする。全長は10cmくらいまでになるが、成長に伴って餌も徐々に大きなプランクトンへとシフトしていく。
地方名 シラオ・シラヨ(青森県)、ゴリ(山形県遊佐町)、ババジラウオ(福島県、茨城県日立市・大洗町)、カワシラウオ(福島県相馬市)、マシラス(福島県いわき市、茨城県大洗町)、シラオ・シラス・トノサマウオ(茨城県)、チリメン・ババ・ババジラオ(茨城県大洗町)、ホンジラオ(茨城県大洗町・神栖市)
その他 踊り食い、刺身、寿司や卵とじ、吸い物などで食され、水産上重要種である。但し、横川吸虫という寄生虫の心配もあり、生の状態で食べるときは注意した方が良い。シラウオはかつて各地で漁獲されていたが、河川の汚染の進行と共に産地が減少している。大きな産地としては小川原湖、霞ヶ浦などがある。
ちなみに、本種は漢字表記で「白魚」と書き、スズキ目ハゼ科のシロウオは「素魚」と書くが、シロウオを「白魚」と誤表記しているケースもあり、ややこしい。なお、シロウオの産地は福岡県室見川が有名で、春の風物詩として時期になるとテレビ番組などで紹介される。
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