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撮影場所

日本 福岡県 筑紫野市

撮影日

2023 /9 /12

科名と学名

ヒルガオ科サツマイモ属
Ipomoea batatas

概説

中央アメリカで古くから栽培されている多年草で、その後南アメリカ地域や、南太平洋地域の島々に渡っていった。そして一端ヨーロッパに渡来してから、ヨーロッパ経由で東アジアに伝播してていったという。日本へは1597年(慶長2)に琉球の宮古島に入っている。
日本では最初南九州を中心に栽培が広まったが、全国的になったのは江戸時代の後期、青木昆陽による普及があったからである。サツマイモはやせ地でも育ち、しかも栄養価が高いので、救荒作物として優れた性質をもっていた。青木昆陽はそこに目を付け、「蕃薯考」等の書籍を執筆し、一般に向けてサツマイモの有用性を教えることで飢饉による死亡者を減らすことに尽力した。その後第2次世界大戦においてはジャガイモやカボチャとともに全国的な食料不足を補った野菜でもある。
アサガオに似たラッパ状の花を咲かせる。白い花弁で、中心部分が紫色に染まるなかなかきれいな花だが、関東などでは日照不足で咲かない場合が多い。更に条件が良ければ種子をつけることもある。ただ、種子からの栽培では恐ろしく時間がかかるため種芋を伏せ込んで苗を作ってから植え付ける方法が普通である。
地下の食用部分は塊根といって、根の一部が肥大したものである。表皮が赤いものが一般的だが、皮が白いものや、中の部分が紫色に染まるものもある。茎は地面をはって長く伸びるが、ウリ科のつる植物などとは異なり他のものには巻き付かない。茎が地面についた部分の節から根を出し、やがてイモをつける。病虫害も少なく、あまり手間をかけずに収穫できる(むしろ肥料を多く与えすぎるなどの過保護な栽培方法では「つるボケ」と言って蔓ばかりが茂り肝心のイモが育ちにくくなることがある)ことから、よく子供用の農園体験材料に使われる。
調理法としては石焼き芋が知られ、焼いた石で加熱して、甘味が充分にのったものが石焼き芋屋の屋台で売られる。石焼き芋屋の売り声は、日本の下町の風物詩ともなっている。その他、炊き込みご飯や汁の実、天ぷらなどにされるが、加熱すると甘みが強くなるため、お菓子としての利用も多い。また、九州、特に鹿児島ではこのイモから芋焼酎が作られ名物品になっている。黄金千貫という品種が焼酎用としておなじみである。
また、蔓も食用にすることができ、戦中戦後の食糧難の際には青菜の代わりとして食されていた。現在は蔓を食用にするため品種改良された品種もある。

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投稿日:2023.10.02

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